2008年3月10日月曜日

南米パンタナール(ブラジル)-2

乾季のPantanal(パンタナール)を彩るPiuva紫イッペイ)の大木。樹皮民間薬としてもてはやされている。イッペイの花は黄色。
1995年7月、CampoGrandeから欧米のエコツアーグループと合流し、バスで南マトグロッソのミランダの農場ロッジまで4時間の旅、車窓からは森林伐採で開かれた広大な牧草地がいくつも続く単調な景色で、ほとんどの客は居眠りをはじめる。我慢してじっと見ていると沢山のアリ塚が視界に入ってくる。中には、天辺にアリツカゲ乗っかっているものも、また、フェンスの杭の上にミドリヤマセミが止まっていた、結構外の景色を楽しみながらロッジに到着。ロッジは瀟洒なスペイン風のホテルといった感じ。部屋割りにはじまり、目的別にガイドが付き、明日からの予定などを話し合う。小さな湖のボートツアー、広い湿地のホースライディングツアー、ジープでの夜のツアーなどが用意されているが、自由時間もたっぷりあり、パンタナールの自然を心行くまで楽しむこととなる。(パンタナールは2000年、世界自然遺産になる)

パンタナールで最初に見た鳥。オオハシ類の中で最大のオニオオハシ(Toco Toucan)。パラグアイ川で船の前方を2羽が横切った時の飛翔が印象的で、羽ばたいては滑空、羽ばたいては滑空を繰り返す。





メガネカイマン(Caiman)Jacareとも言う。2m以下の小型のワニ。
湖沼の周辺にはおびただしい数だ。人が近づくと一斉に水中に飛び込む。主にピラニアなどの魚を食べている。

カピバラ。大きいのは40~50Kgにもなる。親子が群れでいることもある。これも近づくと池の中へ逃げる。



湿原の探索は馬に限る。ただ、林の中を行くときには、低い横枝に注意が必要。林の中で数十頭のクビワペッカリーに遭遇したり、樹上にハナグマの集団を見たり、スリル満点。


どこにでもいるミドリヤマセミ(オス)(Green Kingfisher).





小さな湖(ワニもピラニアもいる)での手漕ぎのボートツアーの際に岸辺に止まっていたオオミドリヤマセミ(メス)(Amazon Kingfisher)を船の中から撮る。ズアオキヌバネドリもいたが、残念ながら写真に撮り損ねた。

ナンベイレンカク(Wattled Jacana).水辺でよく見かける。ホテイアオイの上を虫を求めて飛び移るときなど、羽を広げたときが美しい。



ヘビウ(Anhinga)。魚は嘴で突き刺し、放り投げて口にいれる。





パンタナール湿原ではトキの種類が多い。サカツラトキ(Bare-faced Ibis)






アオアシトキ(Green Ibis)







クロハラトキ(Buff-necked Ibis)






ハイイロトキ(Plumbeous Ibis)。朝早くからロッジ近くの木で大声で鳴く。






高高度を飛ぶJabiru(ズグロハゲコウ)体長140cm。 夜のツアーでは、イッペーの大木の中ほどで子育て中の親鳥を見る。パンタナールの象徴的鳥。



トラフサギ(Rufescent Tiger-Heron). 幼鳥はトラふそのもの。







カンムリサケビドリ(Southern Screemer),体長80cm






ナンベイタゲリ(Southern Lapwing)鳴き声はケリに似る。





キバラオオタイランチョウ(Great Kiskadee)
キスカディーキスカディーと鳴く。大型のタイランチョウで中南米に広く分布している。昆虫から魚まで捕る。



スミレコンゴウインコ(Hyacinth Macaw)  パンタナールにいる世界最大のインコで絶滅危惧種。椰子の実が好物。夕方、2、3羽で鳴きながら塒に帰る姿が見られる。



ツルモドキ(Limpkin)  体長60cm








ミサゴノスリ(Black-collared Hawk) 池沼、川沿いなど魚のいそうなところに必ずいる。魚が主食。





セグロクマタカ(Black and white Hawk-Eagle) 希少種で写真での記録は非常に少ない。









マミジロオニキバシリ(Narrow-billed Woodcreeper) 中南米には50種の大型キバシリ、いわゆるオニキバシリがいる。木を螺旋形に上っていくところ。



ムクドリモドキ(Troupial)、新大陸のOrioleの仲間。





コウカンチョウ(Crested Cardinal) キバシコウカンチョウとともに
パンタナールでよく見かける小鳥。



2008年3月8日土曜日

南米パンタナール(ブラジル)-1































鳥を見る、自然を観る、地球を診る世界旅は、ここ南米の秘境Panatanl(パンタナール)への一人旅で始まる。パンタナールは、総面積23万平方km、ちょうど日本の本州に匹敵するブラジル、パラグアイ、ボリビア3カ国にまたがる大湿原で、雨季には、パラグアイ川及びその周辺の河川が氾濫し、70%が水没、交通はもっぱら船に頼ることになる。一方、乾季には、干上がった大地のあちこちに大小様々な湖沼ができ、その周辺に沢山の鳥や動物が集まってくる。特に水鳥は、繁殖期とも重なっていくつもの大コロニーが形成される。1991年4月、ブラジルのサンパウロ国際空港を発ち、南マットグロッソのカンポグランジを経てクヤバ(南米大陸のほぼ中心に位置する)空港に到着したのはちょうど昼ごろ。そこから高速バスにゆられて約3時間、パラグアイ川近くのカセレス(かつて、金鉱で栄えた町)に着いたのは4時を過ぎていた。30分以上待ってやっと迎えの車が来て、それでパラグアイ川の船着場まで行く。そこから小さなエンジン付きのボートに乗り込み, パラグアイ川を下り、途中でジャウル川に入り上流へと遡ること2時間、とっぷりと日が暮れ, とうとう真っ暗闇の中を走ることになる。たくさんの支流をより分けて進むのには相当な経験が要るとのこと、頼りは、月明かりにかすかに見える川沿いの森の姿、シルエットで、これほどに心細い思いをしたのは始めてである。はるか遠くに宿泊ロッジの小さな明かりを見つけて、やっと胸をなでおろした。ここBarranquinhoのグアバの茂る農場ロッジに3泊4日滞在し、雨季が終わったばかりの南米秘境での鳥見を初体験することになる。












雨季がちょうど終わった後のJauru川は相当水嵩が増していて、オオミドリヤマセミ(Amazon kingfisher)の巣穴もかなり高いところに作られている。巣穴はいたるところにあり、モーターボートが近くを通ると,一斉に、けたたましい鳴き声とともに飛び出してくる。


























一本の木に9羽のカワセミが止まっている光景は壮観である。
ここBarranquinhoロッジ周辺やパラグアイ川、ジャウル川で見た鳥は、最初の写真にあるナンベイアオサギ(日本のアオサギよりふた周りほど大きい)、ダイサギ、ユキコサギ、ナンベイヒメウ、クロハサミアジサシ、ナンベイレンカク、カンムリサケビドリ、アマゾンカッコウ、オニオオハシ、ミドリヤマセミ、オオミドリヤマセミ、カラカラ、ミサゴノスリ、クロコンドル、キゴシツリスドリ、コウカンチョウ、キバシコウカンチョウなどである。その他、世界最大のげっ歯類であるカピバラや小型のワニ(Jacare)、川の浅瀬に潜んでいるシビレエイなど見るもの総べてが珍しく、南米の秘境の魅力にとりつかれ、再度、1995年に家族でパンタナールを訪れることになる。